1951年9月のサンフランシスコ講和会議の席上、日本が一つの国として独立することを支持し、戦後賠償請求権放棄を宣言したスリランカのJ・R・ジャヤワルダナ元大統領。本書では、敗戦後の日本を支えたジャヤワルダナ氏の生涯と日本との関わりが記されている。講和会議では「憎しみは憎しみによって止むことなく、愛によって止む」というブッダの言葉を引用し、日本の分断統治に反対する慈悲と勇気あるれる演説が戦後処理に与えた影響について説明されている。皇室との関係も深い同氏からあらためて学ぶことも多いのではないだろうか。
野口芳宣、銀の鈴社、税込1980円