木村敬知事は、県政運営の基本方針となる「くまもと新時代共創基本方針」を11月29日、定例県議会に提案した。この基本方針は県政における最上位の方針として県政運営の基本的な考え方を示すものだ。そこで今回は、この基本方針の基本理念や取り組みの基本的方向性について取り上げたい。
1.基本方針策定の趣旨
本県では、平成28年熊本地震、令和2年7月豪雨、そして新型コロナウイルス感染症という三重苦に県民一丸となって取り組んできた。現在も、県の最重要課題として、令和2年7月豪雨からの創造的復興や「緑の流域治水」の推進に取り組んでいる。
こうした中で、我が国の経済安全保障政策に基づく世界的な半導体関連企業の県内進出を契機とした「よき流れ」が生まれつつあり、この流れを継承することを掲げて木村敬知事が4月に就任した。特に県民の環境面や交通面での不安や懸念の要因となっている課題の解決を図り、その効果を全県に波及させ、最大化させるための取り組みの推進に全力が注がれており、県政運営の基本方針として「くまもと新時代共創基本方針」が策定された。県民が主人公の県政を推進するためには『ともに未来を創る』という視点も欠かせない。
2.総合戦略の成果と課題
令和2年度に策定した 「第2期熊本県まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、地方創生の実現に向け、「令和2年7月豪雨からの創造的復興」、「新型コロナウイルス感染症を踏まえた対応」、「熊本地震からの創造的復興」、「将来に向けた地方創生の取り組み」の4つの柱に沿って、積極的に施策を展開。前総合戦略では、延べ57の重要業績評価指標(KPI)を掲げ、その推移、達成度により評価しながら、成果重視の県政運営を行い、61.4%が目標を達成、75.4%が前総合戦略策定時と比較して上向きの結果が現れている(=下図)。
県民一丸となって創造的復興・地方創生の取組みが着実に進むとともに、海外との交流をはじめとした、新たな流れも生まれた反面、少子化や人口減少については歯止めがかからず、依然として大きな課題です。持続可能な地域づくりを進めていくためには、こども・若者がキラキラ輝き、県民が家庭や子育てに夢を持てる 「こどもまんなか熊本」の実現、移住定住の促進や関係人口の創出・拡大など、その地域に住みたい方が住み続けられるようにサポートしていくことが必要になると考えられる。
3.基本理念
県民みんなが安心して笑顔になり、持続的で
活力あふれる熊本の未来をともに創る
~世界に開かれた熊本、世界へはばたく熊本~
世界的な半導体関連企業の進出を契機として、国際的な交流が加速する中、世界に挑戦する県、「くまもと新時代」の実現に向けて、地域への愛着とグローバルな視野、チャレンジ精神を持って社会に貢献できる人材『くまもとびと』の存在の必要性をふまえ、世界に開かれた場を創出し、「県民が主人公の県政」を推進することを基本理念に掲げる。
4.取り組みの基本的方向性